「東大生は、どんな本をオススメされてきたのか?」 ひとつの答えは、[東大教師が新入生にすすめる100冊]にまとめた。 では、次の質問はどうだろう。 「東大生は、どんな本を読んできたのか?」 うーん、生協書籍部のランキングが切り口か。でも本郷って古本屋が山ほどあるし、最近なら amazon というルートもあるからなぁ… なんだか難しい本を読んでるイメージがあるけれど、それってホント? に真正面から答えたのが本書。 著者は東大図書館の「中の人」──なのだが図書館に限定せず、新聞や小説メディアや駒場・本郷の古書街、大学生協の書籍部から複眼的に調べ上げ、「東大生の読書文化」に迫っている。 しかしながら、結論は、「さもありなん」というやつ。 漱石からうかがい知る西洋小説の流行、マルクス主義、岩波による思想形成、朝日ジャーナルと少年キング、教養主義といった文化史がなぞられる。出てくる書名はあまりにも典