いきなりですが問題です。 Q:天皇を訴訟することはできるでしょうか? 終戦直後の一時期、昭和天皇の人気が異様に高まる「天皇ブーム」とでもいうべき現象があった。昭和21年(1946)2月から行なわれた全国巡幸で人々が見せた熱狂のことだ。 小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉』(新曜社)の表紙に使われている、中折れ帽を右手に国民に挨拶する昭和天皇の後ろ姿の写真、あれは広島巡幸のときのものだ。この広島巡幸の映像をYouTubeで見たことがある。天皇が壇上に登った瞬間、人々がどぉっと沸きたつその光景は、たしかに熱狂と呼ぶにふさわしいものだった。 「天皇ブーム」と平行して、「ニセ天皇ブーム」というものも起こっていた。「我こそはホンモノの天皇である!」と訴える者が続々と現われたのだ。保阪正康の著書に『天皇が十九人いた』(角川文庫)というタイトルがあるけれど、その数、20名を超えていたともいわれる。 さて、冒頭