■連載「文学のはざま」第8回 鎌田哲哉の闘争 ねじりこむ批評の意地と熱意と鋭さのありか 村田 豪 今回は、批評家、鎌田哲哉を取り上げます。 いまやジャンルとしてはずいぶんマイナーに属するであろう純文学系批評の中で、さらに世間的に著名とはいいがたい鎌田哲哉を論じるのは、一種の狭さ、息苦しさがあるのですが、それは許容してほしいと思います。というのも、これまでこの連載小文をささやかながら書くにあたって、少なからぬ点で鎌田の批評を参考にしてきたという借りが私にはあり、ここらでその負い目をすっきりさせたい気持ちがあるからです。 もちろん真似をして書いたつもりはありません。それでも鎌田が刻みつけた批判=批評の水準を、意識せぬうちに踏まえてしまっていたのは事実です。福田和也やスガ秀実などを扱った回にはそれが顕著で、そのことは一度はっきり自註してもいます。ただ今回は、参照していた鎌田の批評のフレームを、こ