手がかりは思わぬところにあった。一つは中国東北部、遼寧省瀋陽市にある渾南区第八小学校が流したネット投稿だった。 「農村出身の少年が我が国の核兵器事業の研究に身を尽くし、10年後には強国に貢献する技術者となりました。模範として大いに学び、見習うべきです」 中国国営メディアが放送したテレビ番組を紹介しながら、教師と生徒がかけ合う。いわゆる社会科の授業向けにつくられた教材だ。学校が2022年、SNSアプリのウィーチャットに公開した。 内容は物々しい。艦上や戦闘車両から次々とミサイルが飛び立つ映像が流れる。その後、一人の人物にフォーカスがあたる。 「私は習近平(シー・ジンピン)総書記がおっしゃる新時代の国防事業に貢献できる熟練工にただなりたいのです。そして技能で祖国に尽くしたい」 名前は陳行行(チェン・シンシン)。中国の核兵器開発を主力とする国家機関、中国工程物理研究院(CAEP)の所属だ。 番組