連載5回目となる今回は、前回予告したとおり、昨年12月に行なわれた国立国会図書館館長・長尾真氏とのトークイベント「d-laboセミナー:これからの知──情報環境は人と知の関わりを変えるか」の内容をもとに、図書館というアーカイヴの未来について考えてみようと思う。そこで筆者が提示したのは、これからの図書館には知を蓄積する《貯蔵庫》としての役割だけではなく、知のあり方が変わりゆく状況そのものを支える《環境》としての役割が求められる──すなわち「図書館」から「図書環」へ──ということだった。 有史以来から「第三段階」を迎えた分類システム 図書館から図書環へ。それはどういうことだろうか。順を追って説明しよう。まず、改めて確認するまでもなく、「知」と「分類」のあいだには、『「分ける」ことは「わかる」こと』(坂本賢三、講談社学術文庫、2006)という言葉にも端的に表わされているように極めて密接な関係があ