どんな世界にも優劣があり、とびぬけた存在となるエリートが存在する。 これは、俺が出会ったホームレスの話だ。 ホームレスというと一般的には社会的弱者であり、貧乏で、頭も悪く、不健康な爺さんというイメージだし、実際に殆どはそうだろう。 俺がまだ若く、リベラルとかいう麻疹にかぶれ、いい気分で正義の思想家を演じてた時に彼に出会った。 フリーのエンジニアをやりながら、目標もなく将来が不安だっただけにすぎないのだが、ホームレスを助ける事で救われていたのは自分と言ったところがあった。 彼をAさんと呼ぶ。 たまに炊き出しに来ていたAさんは、身なりはボロでも清潔そうで寡黙な青年といった風貌だった。 いかにもきちんと教育を受けたであろう知恵の存在を感じさせる表情が印象にあり、俺から声をかけたのが最初のコンタクトだった。 話をするうちに次第に自分の仕事の事などを話すようになると、Aさんは業務内容に対して理解を示