決定版の「21世紀のSFベスト100」は〈本の雑誌〉2015年11月号をごらんください。 鏡明、大森望の両氏にぼくを加え、目利きとは名ばかりの乱読と独断と適当をぶつけあって1位から100位まで並んだわけですが、その座談会に先立って各自が推薦作リストを用意しました。 鏡リストは〈本の雑誌〉で鏡さんが毎年担当している「SFベスト10」(2001年度〜2014年度)から原著刊行が2001年以降のものを抜きだしたもの。大森リストは大森さんの著作『21世紀SF1000』の「21世紀SF推薦作100」リストと〈本の雑誌〉の常設書評「新刊めったくたガイド」(2011年1月号〜2015年9月号)の★★★★☆以上作品をあわせて、原著刊行が2001年以降のものを抜きだしたものです。そういう意味では、おふたりのリストはすでに公開されているわけです。 ぼくはそういう元手がないもので、えいやっとワガママな「21世紀
ロバート・チャールズ・ウィルスンは、ジョン・W・キャンベル記念賞受賞の『クロノリス--時の碑--』(2001年)、ヒューゴー賞を受賞した『時間封鎖』(2005年)を開幕篇とする三部作など、大仕掛けの「SFアイデア」と緻密な「心理描写」で定評のある人気作家だ。正直に言うとぼくは「心理描写」がどうも苦手で、この作家のこれまでの作品はもうひとつ乗りきれずにいたのだが、本書(2013年)は「SFアイデア」のほうが思いきりの剛速球でワクワクしながら読み通すことができた。 空の上に見えない超越的知性がいて、ひそかに人類をコントロールしている! なんと、エリック・フランク・ラッセル『超生命ヴァイトン』と同趣向のアイデアだ。昔懐かしいWAP(We are property=人類家畜)テーマですね。ラッセルは超常現象研究のパイオニアであるチャールズ・フォートの影響を受けており、人類を支配しているミステリアス
8月15日は、第二次世界大戦の終結を記念した「終戦の日」。2015年は戦後70周年となる。宮内庁のWebサイトでは8月1日、昭和天皇が終戦を告げた「玉音放送」の原盤が公開され話題となった。 今回は第二次世界戦争に関連したWebコミックを中心に4作品を紹介する。どれも異なるアプローチから戦争を描いた作品で、長編ではないもののズシリと心に響く作品となっている。 戦争めし(魚乃目三太) 『ヤングチャンピオン』『烈』『別冊』で同時連載された、戦争と食をテーマとした作品。戦場の兵隊と飯、戦艦大和とラムネ、戦時下のお寿司屋さん、餃子と引き揚げ兵などさまざまなエピソードが描かれている。 Webコミックサイト「チャンピオンクロス」では、1944年、アメリカとの戦いが激化する南の島でのとある歩兵連隊を描いた「幻のカツ丼」(前・中・後編)が公開されている。作者の魚乃目三太さんは、セリフのない食漫画『しあわせゴ
今年のSF作品は、ハヤカワ以外からの意外な掘り出し物が多くありました。 電撃大賞受賞作の『ひとつ海のパラスアテナ』は海洋SF+百合という組み合わせで好評を博しました。2巻以降は(主に百合方面で)パワーダウンしたという批判もありますが、電撃SFの新たな旗手として活躍する予感があります。野崎まど待望の新作『独創短編シリーズ 野粼まど劇場(笑)』では、タイポグラフィを駆使した短編に加え、なろうブームを皮肉った短編「お医者さんになろう」も。 ガガガ文庫の『あの夏、最後に見た打ち上げ花火は』は、ファミ通文庫から出ていそうなジュブナイル恋愛に時間SFの要素を振りかけた佳作。角川スニーカーからは、kindleで先行連載されていた『テスタメントシュピーゲル2』の書籍版が5年ぶりに発売されました。 キャラノベ/ソフトカバーラノベでは、『マレ・サカチのたったひとつの贈物』『螺旋時空のラビリンス』などの意欲作が
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