うつ病など心の病に悩む人を1人でも減らそうと、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)は4月1日、薬だけに頼らない治療の専門家を育てる組織を発足させる。考え方や行動のパターンを変えることで心の負担を軽くする「認知行動療法」を普及するための取り組み。先行する英国では自殺率の低下などの効果につながっている。 同センターが8日、発表した。認知行動療法センター長には、大野裕・慶応大保健管理センター教授が就く。初年度の予算は約1億円で、うつ病や不眠症患者向けの療法を研修し、年間100人ほど専門家を育成。地域や職場での活動の支援もする。 日本では、うつ病治療は抗うつ剤などの薬物療法が中心で、大量使用が問題となっている。薬で治るのは5〜6割程度だが、認知行動療法を組みあわせれば7割以上になり、再発率も低いという。 英国は専門家を育てるため年間約120億円を投資している。大野さんは「一生のうち