食中毒の原因食材の特定は難しい。被害拡大を防ぐ素早い対策が必要だが、誤れば生産者や販売者に多大な損失を与える。原因を探る「食中毒捜査官」の養成も課題が山積している。 昨年5~7月、欧州は新種の病原性大腸菌O(オー)104による集団食中毒に揺れた。ドイツ北部を中心に16カ国で死者50人、患者4000人以上に上った。 ドイツ・ハンブルク市の保健当局は5月下旬、スペイン産キュウリが原因との見方を示したが、その後に「シロ」と判明。トマトなどにも「容疑」がかけられた。欧州食品安全機関(EFSA)は7月、原因はエジプトから輸入した発芽野菜コロハの種子とほぼ特定した。 この間、欧州各地で野菜生産者は大幅な売り上げ減を強いられた。欧州連合(EU)は2億2700万ユーロ(約240億6200万円)の補償金を支払い、ハンブルク市はスペインの生産者から230万ユーロ(約2億4400万円)の損害賠償訴訟を起こされた