最初に言っておきたいが、帯は完全な誇大広告。筒井ワールドは「炸裂」していないし、面白さが「爆発」するような内容でもない。 学生時代、貪るように筒井康隆の文章を読んだ。小説もエッセイも。今は、すべてを追いかけるわけではなくなったが、それでもやはり新刊が出れば気になるし、いずれは息子と娘も読んで楽しんでくれたらと、願っている。 活劇映画と家族 (講談社現代新書) 作者:筒井 康隆講談社Amazon 本書はそんな文豪が、思うままに自分の好きな古きよき映画について語ったもの。一応、テーマは「活劇映画における擬似家族」と設定されているが、そこらへんはわりとどうでもよく、文豪は書きたいものを書きたいように書いたエッセイ。まえがきにも「小生、読者とともに懐かしい映画の思い出にどっぷりと浸りたいのだ」とある。 また、洋画における活劇映画は何もギャング映画に限ったことではないので、冒険ものや探検ものや探偵も