テキスト/隠岐麻里奈 写真:大堀 優(オフィシャル)text by Oki Marina photo by Ohori Suguru (Official) 「もし35歳くらいの体でずっといられるなら一生フロンターレでプレイしたかった」 引退発表をした後にケンゴのブログに書かれていた一文だ。 それは、「もしも、ひとつだけ願いが叶うなら?」と聞かれたら、答えたような類のものだろう。 中村憲剛の引退は、永遠に続きそうに錯覚したふりをして、いつか必ず終わりが来ると分かっていながら、 私たちが向き合わないようにしてきたことだった。 そのことに本人も気づいていたから「みんなが後ろ向きのイメージで捉えないような引退がしたい」という思いが強かったのだろう。 しかしながら、目指したからといって、望んだ結果が出るとは限らない。 ケンゴの同志である加奈子夫人が長男・龍剛くんが納得できるようにと手紙に綴った言葉。