金谷武洋『日本語は亡びない』(ちくま新書)が出版されたので中味も見ずに購入した。2008年に出版された『日本語が亡びるとき』(水村美苗著、筑摩書房)を批判するために書かれた本である。しかし読んで忽ち失望した。まるで批判になっていないからである。批判といえる部分は全八章のうち第一章だけ。しかし、これは全面的に金谷の責任ではあるまい。もともと、批判に足る論点が少ないし、水村の文章もきわめて分かりにくい。金谷さんは持論である日本語論(日本語に主語はない)をこの書物で再説してお茶を濁している。 『日本語が亡びるとき』は出版されてすぐに私は購入した(初版第一刷)。しかし、あまりに著者の独りよがりの発想が多く閉口した。ほとんど投げ出した、といってもいい読み方しかできなかった。この本の帯にはこうある: <「「西洋の衝撃」を全身に浴び、豊かな近代文学を生み出した日本語が、いま「英語の世紀」の中で「亡びる」
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