1980年代末からのベネトンのポスターやカタログには、基本的に商品は登場せず、差別・紛争・難民・死刑制度といった問題をとりあげ、一枚の写真によって訴えているのが特徴です。人権問題をテーマにしたものが多いため、国連と共同でキャンペーンを展開しているのも多くあります。こうした広告スタイルは、ディレクターのオリビエロ・トスカーニの「広告はまやかしの幸福を描くのではなく、企業の社会的姿勢を示すものであるべきだ」という持論を具現化したものといえます。また、社長のルチアーノ・ベネトンもトスカーニの広告手法を全面的に支持し、一連のキャンペーン広告が展開されました。ベネトンでは、商品を知ってもらうには実際に店頭で手に取ってもらうのが一番で、雑誌広告やポスターであえて商品を紹介する必要性はないと考えているようです。ファッションブランドとしては後発のベネトンは、こうしたラディカルな広告表現によって注目されるよ