大谷能生による『平岡正明論』が、ele-king booksより5月30日に刊行された。大谷能生にとっては『ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く』以来の、5年ぶりの単著になる。同書は、ジャズのみならず政治思想、第三世界革命、歌謡曲、極真空手、河内音頭、浪曲などを対象に縦横無尽の思考をハイペースで書き残し続けてきた「戦後最大スケール」の批評家・平岡正明の生涯と著作を丹念に辿っている。2009年に逝去した平岡正明だが、その再評価の機運は高まりつつある。昨年11月に刊行された『ヱクリヲ7』「音楽批評のオルタナティヴ」では、平岡をジャズからHIPHOPへの再接続を企図した後藤護「レアグルーヴ、平岡正明」が掲載され、同特集に参加した吉田雅史もまた当初は平岡正明論を準備していた。 残した著作は120冊を超える、大思想家でもあった平岡正明の可能性はどこにあるのか。大谷能生・後藤護・吉田雅史の3名による