「江戸しぐさ」は、消えたものと思っていた。 公式な敗北宣言がリリースされたとか、関係者による謝罪会見が開かれたという話までは聞いていない。が、個人的に、あれはもう終わりだと思い込んでいた。形式上のケジメは別にして、歴史伝承ないしは思想運動としての「江戸しぐさ」普及活動が、その社会的な生命を絶たれた点については、まったく疑っていなかったということだ。 というのも、あれだけはっきりと証拠を突きつけられた形で歴史の捏造が証明され、ついでに普及の経緯における各方面との癒着までもが明るみに出てきてしまっている以上、これまで通りの活動を続けることは不可能であろうと、かように判断したからだ。 ちなみに、「江戸しぐさ」のインチキが発覚してから証明されるまでの経緯は、原田実氏の『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』(星海社新書)に詳しい。 私は、2014年の8月に本書が出版されるやいなや読んだ。で、