『ユリ熊嵐』(幾原邦彦監督、SILVER LINK制作、2015年)は愛をめぐる物語だ。それは各話の冒頭で「わたしたちは最初からあなたたちが大好きで、あなたたちが大嫌いだった。だから、本当の友達になりたかった。あの壁をこえて」というモノローグが読まれることが示している。では、だれの愛がいかにしてだれに与えられたのか。それはどのような意味をもつのか。エーリッヒ・フロム著『愛するということ』を助けに、以上の疑問を解決したい。 本作において愛は<スキ>と<キス>というかたちで表現される。『ユリ熊嵐』の4話において、るると弟のみるんを登場人物にした<スキ>と<キス>の寓話が語られる。「『ねえお姉たま。本物のスキはお星さまになるって本当?』『本当よ。本物のスキは天に昇ってお星さまになるの。そして流れ星になって地上に落ちたお星さまは約束のキスになるのです』」(『ユリ熊嵐』ep.4)。みるんはるるにキス