【弁護士になって初めて取り組んだ事件の相手方が国とわかったとき、どう思いましたか?】今回は、スタッフからの質問に答えていただきました。文・久保利英明 同年配の弁護士の回顧録に、1年目に担当した事件のことが書かれていた。私もそうだが、弁護士1年目に取り組んだ事件が、50年の弁護士経験を重ねても尚、思い出に深い事件であり、弁護士としての人生を決定づけることにもなるように思う。 その意味では、1年目に担当したのが、釧路村山牧場国有地時効取得事件と薬害スモンの原告代理人となった国家賠償事件であったことは、私の弁護士人生を通貫している。 現在の、一人一票原則に基づく2009年以来の衆参選挙無効事件や、憲法53条に基づく臨時国会召集要求拒絶に対する国家賠償事件など、国相手の事件はいずれもこの潮流に沿っている。 国を相手にする事件を好んで選んだわけではない。 しかし、この国の政府や官僚はしばしば民主主義