加藤友希さん(仮名・49歳)は11年前に離婚した。当時10歳の息子と8歳の娘は、元夫のもとに置いて出た。 「離婚を申し出た私に、子どもの親権を渡すなら離婚に応じる、と。どうしても元夫と別れたかった私には、それしか選択肢がなかったのです」 子どものいる離婚で争点になることのひとつが親権問題。厚生労働省の調査によると、平成21年度の段階で子どもがおり、親権を決定しなければならない夫婦のうち、母親が親権を持つのが8割前後にのぼるという。離婚の理由や背景はそれぞれだが、親権を夫に渡した母は「子を捨てた」と言われてしまうことが多い。ライターの上條まゆみさんの連載「子どものいる離婚」で今回話を聞かせてくれたのは苦渋の決断で親権を手離した友希さん。なぜそうしてまで離婚したのか。そして11年経った今、気づいたこととは。 親権を手離した母親への厳しい目 未成年の子どもがいて離婚する場合、その8割以上が、母親