徴用工訴訟で韓国側による日本製鉄の資産の現金化が現実になれば、日本企業の韓国離れが加速しそうだ。現金化は日本企業が保有する財産への不当な侵害で、多くの企業にとって看過できない行為といえる。今後、日本企業の間でリスク回避を念頭に置いた動きがさらに強まる可能性がある。 韓国側が差し押さえているのは日鉄と韓国鉄鋼大手ポスコの合弁会社の株式のうち日鉄の保有分。現金化の対象は約3700万円相当だ。現金化は国家間の合意を一方的に覆す、私有財産の不当な侵害といえ、韓国事業がはらむリスクが鮮明になった形だ。一連のいわゆる徴用工訴訟では日鉄以外にも三菱重工業や不二越など70社超が被告となっているとされ、「明日はわが身」の立場に置かれている。 日本企業の韓国熱はすでに冷めつつある。2012年時点で約45億ドル(約4700億円)あった韓国への直接投資は19年には14億ドルまで減少した。最近も日本製品の不買運動が