女性誌では“小顔”特集が組まれ、優しい顔の男がもてはやされる現代日本。トレンドとなっている“顔”から浮き彫りになるのは何か。情報工学の教授でありながら、“顔”にこだわる原島博が“顔”から現代日本に迫る。 原島 博 HARASHIMA Hiroshi 東京大学名誉教授。1945年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程修了。工学博士。東京大学助教授、スタンフォード大学客員研究員を経て東京大学教授。1995年に日本顔学会を設立し、設立発起人代表となる。主な著書に『顔学への招待』(1998年/岩波書店)、編著に『仮想現実学への序曲』(共立出版/1996年)など。 ——日本人の「顔」という切り口で、いまの日本人像や時代相といったものについてお伺いします。ご著書によれば、最近の人類学の成果として日本人にはふたつのルーツがあるようですね。ひとつは数万年前に南方から直接日本列島に入ってきた人たちで、縄文時