──香川さんが思う、昆虫のすごさとはどんなところですか。 人間から見ると、昆虫は下等で野蛮な生きものに思えるかもしれないけれど、ミツバチやアリなどは、人間が行っている社会性のある営みをはるか昔から実践してきたわけですよ。 また、オドリバエというハエの仲間は、雄が雌にえさをプレゼントして、雌がえさを気に入って食べてくれたら、交尾してもらえる。野蛮どころか、人間の男性が女性と交際するときにプレゼントを贈るのと、まったく同じことをしているんです。 ──下等どころか、人間のモデルケースのような営みや行動を昆虫は行っているのですね。 人類が誕生する何億年も前から、昆虫はこの地球上で活動していて、今、われわれが見ることのできる昆虫の姿かたちや、「変態」を含めた体のしくみ、保護色や擬態をはじめとする不思議な生態は、どれも太古の昔から、気の遠くなるような悠久の時間のなかで、「種」として生き延びるために進化