実家近くのパン屋さんが閉店していたことに今さら気づいて衝撃を受けている。 そういえば運動会の朝はいつもパンだったなと思って向かったら知らない看板が掛けられていた。子供のころから思い返しても30年は続いていたパン屋さんが無くなっていた。 弁当じゃない日はいつもあの店のサンドイッチとパックのカフェオレを買うのが楽しみで。小さいころは動物パンを、大きくなってからは焼きそばパンをおやつに見つけるたびに幸せであった。袋いっぱいの食パンの耳を夜中テレビを見ながら全部食べてしまったこともあった。夏の学習会の朝食もあの店のパンだった。おしゃれでも何でもない、ごくふつうのパン屋さん。とるに足らない日常の、思い出に残らない出来事の、あることが当たり前に思っていた風景だった。 あの店のパンがない朝。運動会の朝。