高齢者の「家賃滞納」問題。強制執行による立退き当日、賃借人は何を語ったのか。 ※本記事はOAG司法書士法人代表・太田垣章子氏の書籍『 老後に住める家がない! 』(ポプラ社)より一部を抜粋・編集したものです。 築60年超「今にも崩れそうな長屋」に住む73歳男性手ぶらで歩いて外出しては、自転車に乗って帰ってくる賃借人がいました。賃借人の名前は、鮎川健一郎(73歳)さん。身寄りもなく、一人でこの長屋の1軒に住んでいます。 4軒長屋の建物は、築60年以上。設備も古いため、鮎川さん以外の3軒は、新しい部屋へと転居していきました。不動産は生き物とはよく言ったもので、4軒中1軒しか使われていないせいか築年以上に建物は傷み、今にも崩れ落ちそうな勢いでした。 鮎川さんが乗って帰ってきた自転車は、長屋と隣の家とのフェンスの隙間に次々と置かれていきます。狭い敷地に建っている長屋なので、置けるスペースは限られてい