あさちんは年に数回連絡をくれる私の数少ない友人であり、かつての高校の同級生だ。 あさちんはその昔、華奢で小柄でくるりとカールした睫毛に縁どられた大きな瞳にふんわりとした癖毛の、とにかくとても可愛い女の子だった。 高校を卒業後、県内の地元国立すら冬は険しい山と雪に阻まれて通学不可能になる土地柄のためクラスの半分は県外の、東京、名古屋、大阪あたりに進学する地元で、その地域の地主というか横溝正史の小説に出てくるような旧家の2人姉妹の長女だったあさちんは「女の子がひとりで都会に出るてとんでもない」という両親の言いつけを守り、家から通える地元の短大に進学した。 「あさちんは成績がいいし、特に英語なんか超できるのになんか、もったいない」 あさちんが自分の進学先の関西に一緒に行ってくれたらどんなに心強いだろうと別れた彼氏ばりに未練がましい私に、だって親がさあと笑うあさちんは、別に両親が取り立てて底意地が