「バイト代が出たら母さんに渡すね。これまでたくさんお小遣いをもらってきたお返しに」 こう話していた17歳の高校生。 ことし3月、自分の部屋で倒れて亡くなっているのをきょうだいが見つけた。 その体内から検出されたのは鎮痛剤として使われるフェンタニル。 いまアメリカで、このフェンタニルが原因で命を落とす若者が相次いでいる。 いったい何が起きているのか。現地を取材した。 (ワシントン支局記者 西河篤俊) われわれが向かったのはアメリカ西部アリゾナ州。 あのグランドキャニオンがあり、メジャーリーグのキャンプがよく行われるところでもある。 州都フェニックスを車で移動していると、路上で横たわる人たちが目に入ってきた。体をくの字に曲げ、もうろうとした状態の人も。 気温が40度を超えることも珍しくないフェニックスだが、暑さで参っているのではない。 薬物中毒の症状とみられる。 こうした人たちを支援する団体の