<人口増大と環境問題> ―― 最近国連が発表した世界人口白書によれば、2011年10月末に世界の人口は70億に達したようだ。その意味合いは何だろうか。 この時点で世界人口が70億を超えたのは、良いニュースでもあり、また悪いニュースでもある。良い側面は、この12年間で増大した10億、1960年代以降でみれば40億の人口増を地球が受け止めていることだ。今後さらに人口が増大しても地球における人類の生活が破綻することはない。これは、おもに、グリーン革命による食糧増産などの技術革新に負うところが大きい。 悪いニュースは、人口増大によって環境に大きな負荷がかかっていることを示す兆候が見受けられることだ。すでに人口が70億に達して、21世紀末までにさらに30億が増えると考えられる以上、問題はさらに深刻になっていくだろう。 ―― あなたが心配している人口増大に伴う環境上の問題とは。 (気候変動問題は人
<戦略備蓄の量よりも管理に目を向けよ> 1970年代前半の第1次オイルショック以降、アメリカは巨大な石油(原油)の戦略備蓄を蓄え、維持していくために、現在の価値に換算すると、約500億ドルの資金を投資してきた。ルイジアナ州とテキサス州の沿岸地帯の地下にある岩塩ドームに貯蔵されているアメリカの石油戦略備蓄の規模はいまや7億バレルに達する。ヨーロッパや日本など、他の主要な石油輸入国も戦略備蓄の形成に大きな資金を投入してきた。しかし、こうした国の多くが戦略備蓄をさらに積み増していくべきかどうか、現在思案している。 2007年1月の一般教書演説で、ブッシュ大統領は近い将来にアメリカの戦略備蓄を15億バレルに増やしていくことを提案した。だが、その規模へと戦略備蓄を強化していくには、原油価格が今後も1バレル100ドルを上回る水準で推移すると考えられる以上、700億ドルから1千億ドルの資金が必要になる。
<石油インフラへの投資を控える理由はない> ―― この数カ月にわたって原油価格のボラティリティ(変動)はそれほど大きくない。今後、原油価格はどう推移するとみているか。また、その判断は石油企業の投資計画にどのような影響を与えるだろうか。 原油価格は安定してきているが、「相対的には」という形容詞をつけなければならない。 石油産業の投資は7〜8年後を見据えて行わなければならない。生産設備への投資が現実に生産へと結びつく7〜8年後の原油価格を考える必要がある。一方で、そうした投資資金は、既存の生産施設がもたらす利益やキャッシュに依存している。 要するに、どの程度の規模の投資が必要か、配当の支払いにいくら必要になるか、そして、投資の長期的な価値はどうなるか、これらのバランスをうまく見極めなければならない。現状からみる限り、石油需要がさらに低下していくとは考えられない。世界経済は回復していくと私はみ
少なくとも、フクシマ第一原子力発電所の6機の原子炉の4機はもはや修復不能の状態にある。ブルームバーグニュースによれば、ダメージを受けた原子炉を格納する施設にコンクリートを流しこんで施設そのものを封鎖するという案も浮上している。日本政府はいまも原子炉のダメージの詳細を把握できずにいるし、原子炉から放射性物質が依然として漏れ出しているのではないかと懸念されている。 地震と津波災害はフクシマ第一原子力発電所に壊滅的なダメージを与えただけではない。フクシマ第一発電所以外にも、稼働停止に追い込まれている地熱発電所や原子力発電所は数多くある。日本はこの状況に計画停電で対処しようと試みてきた。 だが、「失われた電力生産能力、停止に追い込まれている発電所の生産能力を別の方法で埋めあわせない限り、工場の稼働率も低下し、自動車をはじめとする数多くの製品を生産できなくなる。人々は消費を控えるようになり、日本
<グローバル化が格差を広げたのか> 米経済はまるで継ぎ目に沿って引き裂かれつつあるかにみえる。失業率はほぼ10%と、この30年間でもっとも高いレベルにある。差し押さえによって自宅を明け渡した人は100万人にも達し、人々の実質所得は、大恐慌以降のいかなる時期と比べても大きく、しかも急激に落ち込んでいる。解雇された人々の多くは、これまで自分に富と保障をもたらしてくれた、組合に守られた安定した雇用につくことはもうないだろうと先行きを悲観している。実際に、そうなるのかもしれない。 だが、この悲劇のさなかで奇妙なことが起きている。金融メルトダウンのきっかけを作ったグローバル金融の巨人たちを含む、アメリカの富裕層がますます豊かになっているのだ。それも、少しばかり資産を積みました程度ではない。これまでと比べてさえ、非常に大きな富を手にしている。 2009年の数字をみると、アメリカの富裕層トップ5%
<政策の前提としての思想> 「自分は思想的な影響など受けないと考える現実主義者は、多くの場合、この世にいない経済学者の奴隷である」。ジョン・メイナード・ケインズはかつてこう指摘した。政治家も分析者も、一部の哲学者によるスケールの大きな考えを受け入れた上で、自らの直感や推測を通じて世界をとらえている。 特定の古い思想が社会で当然視されることもある。例えば、アメリカ人の多くにとって、それはジョン・ロックからウッドロー・ウィルソンまでのリベラル思想の伝統であり、これがアメリカの外交思想を規定してきた。自由、個人主義、協調という聖なる概念はアメリカの政治文化に細かに織り込まれている。多くのアメリカ人はこれらの概念のことをまるで自然の摂理であるかのように考え、機会さえ与えられれば、世界のあらゆる地域の人々が、必ず受け入れる「普遍的価値」とみなしてきた。 変化の時代にあっては、世界がどのように機
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