清流で知られる四万十川(高知)の地元で考案された「四万十式作業道」と呼ばれるエコ林道が全国に広がっている。材料をすべて現地調達するため、環境に優しく、設置コストが格段に安いのが利点だ。水源保全で森林整備を進めるサントリーが導入を始めたほか、林野庁も新年度から補助金を出す方針だ。 四万十式作業道は、高知県四万十町(旧大正町)の林業担当職員だった田辺由喜男さんらが1996年ごろに考案した。林業の衰退で手入れされない人工林が増える中で、低コストの作業道が必要だった。従来の作業道は、材木の搬出にも耐えられる強度にするため、道をコンクリートで固めたり砂利を敷いたりすることが多かった。 四万十式は、設置現場に生える植物の根や葉を含む表土と、表土の下にある土とを交互に積み重ねて強度を保つのが特徴だ。重機で踏み固めれば、表土にある植物の繊維質と土が絡み合って崩れにくくなる。路肩は木の根株も埋め込み強化