大阪都構想をめぐる住民投票は、市の提案が0.8%の僅差で否決され、橋下徹市長は政界引退を表明した。今回の住民投票で印象的なのは、各メディアの出口調査で反対多数だったのは70歳以上だけなのに、全体として反対が賛成を上回ったことだ。これは36万人の期日前投票で、反対の組織票が多かったためといわれる。 いずれにせよ現役世代は賛成多数だったので、高齢者が大阪都構想を拒否したことになる。これは、ある意味では当然だ。今回の住民投票は実質的には橋下氏の信任投票であり、彼は「小さな政府」への改革を進めようとしていた。24区を5区に合併する都構想の目的は、行政のスリム化と住民サービスの効率化である。 特に大きな問題は、高齢者サービスだ。次の図は大阪市のホームページにある高齢化率(25年間の65歳以上の人口増加率)だが、最高の西成区では25年で4倍以上になった。おもしろいことに、この図で高齢化率が16ポイ