日本に必要なのは空虚な「反権力」ではなく、本当の敵「反空気」である 〜〜「20世紀の神話」は今こそ終わらせるとき(第5回) 前世紀感覚の人はすぐに「権力が暴走する」「権力の乱用に歯止めをかけなければ」といったスローガンを言いたがります。しかしこの「権力の暴走」って、いったい何を指して言っているのでしょうか? 「権力の暴走」を言う人の根っ子にあるのは、たいていの場合は太平洋戦争でしょう。「軍部が暴走して無意味な戦争を引き起こした」みたいなステレオタイプな説明は、そこらじゅうに溢れてますからね。 しかしこの「軍部の暴走」って本当でしょうか? ひとつわかりやすい例を。伊丹十三さんのお父さんで、同じく映画監督だった伊丹万作が終戦の翌年に書いた有名な文章を引用しましょう。 「みんな、今度の戦争でだまされたと言ってる。みんなが口をそろえてる。でも私の知ってる限り、『おれがだました』って言ってる人はひと