製造業の自動化、デジタル化をいかに進めるか。いわゆるインダストリー4.0に代表される製造現場の改革が世界的に進められ、働く環境としての工場も変化しつづけている。その取り組みが進むなかで課題として浮かびあがってきたのが、企業の垣根を越えてのエンド・ツー・エンドのデジタル化をいかに達成するか、だ。その実例として、本稿では主に中国EC(電子商取引)大手アリババグループの取り組みを紹介する。 変貌する中国の製造現場 2019年末、私は広東省東莞市にある中国スマートフォンメーカー大手OPPO(オッポ)の工場を訪問したが、緑豊かな敷地に驚かされた。工場内もきっちりと管理され、清潔さが保たれている。中国の大手IT企業は米国のシリコンバレー風のカジュアルなオフィスデザインを採用していることが多いが、工業地域である東莞市でもこれほどとは。 今や世界5位のスマートフォンメーカー(カウンターポイント・テクノロジ