このほか、生物多様性、化学物質管理、地球環境対策など多岐にわたる分野で、様々な企業活動に関連する法令が存在している。そんななか、環境法が企業活動に与える影響の範囲が変化しつつある。 デュー・ディリジェンスを規定する2つの国際的な規範 これまで企業は、環境法において自らの事業活動を中心として、公害防止や環境負荷の低減などの取組みを求められることが一般的だった。しかし、その環境責任を拡大するルールが急速に形成されてきている。その背景には、2つの国際的な規範の存在がある。 1つは、2011年に国際連合人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、指導原則)である。企業に人権を尊重する責任があることを明確化し、企業に対し、その事業活動およびサプライチェーンを通じた人権侵害リスクを特定・防止する手段としてデュー・デリジェンス(以下、DD)の実施を求めるようになったという点で、この指