この記事では2023年11月1日発売の原晋・著『最前線からの箱根駅伝論』より本文の一部分を抜粋して公開いたします。 監督の心情が浸透するのは4年周期×2周監督の仕事で、もっとも大きなものはやはり育成です。監督は誰しもその人なりの指導哲学を持っていると思いますが、それを浸透させるのがまず大変なのです。 私の経験も踏まえて言えることですが、陸上の長距離は短期的な視点ではなく、10年スパンでチームづくりをしていかないとうまくいきません。 過去の例を見ても、監督が3年、4年でコロコロと代わっているチームで勝ったためしがないのです。ましてや、本戦出場すら遠ざかっているチームを箱根駅伝で優勝させようと思ったら、最低でも10年はかかると見るべきでしょう。 学生スポーツは基本、4年周期でメンバーが替わります。私の感覚では、それを2周したくらいでようやく監督の信条がチーム全体に浸透していく。長距離走は狩猟で