警察署の留置施設で収容されている人に提供される食事「官弁」にも物価高騰の波が押し寄せている。収容されている人の人権を保障するため、請負業者は1日3食を365日届ける重要な役割を担うが、原材料費だけでなく、配達に使う車のガソリン代も高騰し、経営を圧迫。もうからない仕事を請け負う業者は少なくなり、入札すら成立しない状況になっている。 【写真】逮捕された人や勾留中の人が食べる弁当を作る業者 「小袋のしょうゆを入れてはいけない」…通常とは違う決まり 8月下旬の午後1時ごろ、長野県佐久市中込の卸小売業「越中屋商店」の調理場。約3時間後に近くの佐久署に届ける夕食の準備が進んでいた。「一般販売用とは異なり、小袋のしょうゆを入れてはいけないなど、細部まで決まりがあるんです」。中田真也専務(45)が官弁作りの難しさを話した。