Introduction 筆者は、これまで数多くの企業変革プロジェクトに参加してきた。提案した競争戦略が実行され結果に結びついた事例がある一方で、残念ながら戦略が思うように実行されず結果に結びついていない事例もあるという。自らの力不足を反省しつつ、それらの事例を客観的に分析した結果、成否の分岐点として提案された戦略に対する「現場の人たちの反応」に着目する。 バブルの風にあおられた多くの日本企業は、過剰設備・過剰人員・過剰債務の三重苦の中で、とりあえず身を締め、ダウンサイズすることを余儀無くされました。ただ闇雲な人員削減の結果、現場は疲弊し、本来伝承すべき現場の思想や知恵までも失っていきました。生き残るために目先のことだけに専念することを強いられた多くの現場は、いまや考えることをやめてしまった思考停止状態にあるといえます。 近年みられた企業不祥事はこうした「物事を深く考えなくなってしまっ