国境のそばで60年暮らす日本人がいます。 戦争が終わっても帰らなかったその人は 今でもずっと戦いの近くで驚くほど穏やかに暮らします。 「近くに越してきました。タイの生活は長いと聞きますがいかがですか?」 「ビルマですよ・・・私は。 向こう側では居住許可が下りなくて・・・こっちに来たんです。」 中野弥一郎さん。 大正7年生まれ。新潟県出身。来月で90歳を迎える。 21歳時出兵し、中国で1年半戦闘生活をした。 1年半で帰国ができると誰ともなく話していた。 上海の駐屯地で今まで着ていた厚手の軍服に変わって薄手のシャツが渡される。 「南方に送られるんだ・・・・」 着いた場所はシンガーポール。マレーシア、タイを北上しビルマへ。 そしてインパールへ進軍した。 撤退。ザガインでの激しい戦闘。 「敵さん」は大砲を持ち味方は機関銃のみだった。 頭上に飛ぶのは敵機ばかり。食べ物はチョコレートなど「敵さん」のも