「粘菌の知性」を解明:(2):単純な法則が複雑な構造を生む 2010年2月16日 Brandon Keim (1)から続く キイロタマホコリカビの研究は、1950年代に大きく進展した。プリンストン大学の生物学者John Bonner氏の研究により、粘菌の細胞が集合体形成の指令を出すシグナル伝達に用いている化学物質[環状アデノシン一リン酸(cAMP)]が発見されたのだ。 当時の研究者たちは、一部の専門化した細胞が、このプロセスを制御していると考えていた。しかしその20年後、著名な数学者アラン・チューリングによる、単純な法則が複雑な構造を生み出すことについての研究に着想を得た研究者たちが、粘菌の複雑な集合体は、一部の細胞が中心となって制御しているのではなく、個々の細胞どうしの相互作用による結びつきからなっていることを明らかにした。 [コロニーの創始者となる一つの細胞がストレスへの応答でcAMP