電車の音が聞こえてホームに降りたら、行きたいのとは逆向きの電車だった、てことないだろうか。 いまホームにどんな電車が来ようとしているのか、ホームに行かないと分からない。 でもそうじゃない構造の駅もあると知った。めぐってみた。
panpanya作品は、基本的にどれも似ている。えんぴつ描きの女の子と緻密に描き込まれつつ歪んだ住宅街が象徴的な短編漫画がほとんどだ。気づくことで初めてずっとそこにあったと気づける風景の中の機微。仕組み、機械、生き物、製造、具象、迷子、意図、人工物、合理性。そういう言葉で表されるものをしつこく何度も軽妙に描く。赤瀬川原平、都築響一、佐藤雅彦、森博嗣、デイリーポータルZ、ハイエナズクラブみたいな名前が関連として思い浮かぶ。 『二匹目の金魚』は、panpanya作品では商業的に5冊目にあたるが、やはりこの短編集も前段で言ったような要素を全ておさえている。そのうえで、キャラクターの感情表現が豊かになったり、登場人物のユーモラスな掛け合いが増えていたり、謎解きのカタルシスがより明瞭になっていたりしていて、物語としての完成度が高くなっている。そういうところも含めてとても工学的だ。
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