さまざまな活動を通して現在の野球界の問題点を発信している上田氏。心の中には「数々のピッチャーを潰してしまった」という後悔の念がある 【撮影:スリーライト】 上田誠氏は慶應義塾高の監督を務め、高校球界に新風を吹き込んできた指導者だ。いわゆる体育会系とは一線を画した指導を行いつつ、春夏の甲子園大会に出場した実績を持ち、後にプロへ進む選手の育成も手掛けた。今回のインタビューではその名伯楽が過去の自分への反省も交えつつ、投球制限と、スポーツ障害の予防に向けた球界のあり方を率直に述べている。 ――投球障害の予防について、高校野球界の現状をどうご覧になっていますか? まず甲子園大会はあまりにも多くの大人を巻き込んだ、周囲の期待が重いものになっています。僕も監督として多くの投手を潰してきました。準々決勝くらいで「肘が痛いんです」と選手が言ってきたとき、痛み止めの注射をして投げさせたこともたくさんあります