果物の内情(病害の有無、種の数、糖度など)は、商品価値を大きく左右するものだが、これを外見だけで見抜くのは難しい。そこで、多くの選果場では果物を傷つけずに検査するために、熟練の作業者が一つひとつの果物を手に取り、障害の有無などを見極めている。 しかし熟練者の判断基準は、“全体のバランス”といったあいまいなもので、具体的に「どこをどう見ているのか」を説明するのが難しく、ゆえに技術を次世代に伝えることが難しい。今、熟練の検査員は高齢化し、人材不足や技術継承が喫緊の課題となっている。 そこで、こうした作業をAI(人工知能)で代替する試みが始まっている。岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)准教授の赤木剛士氏らが開発した「柿の内部障害を見抜くAI」もそのひとつだ。 赤木氏らが開発したAIがおもしろいのは、柿の内部障害を見抜くだけでなく、AIが何を見て判断したのか、その「判断理由」を可視化できること