啓蒙とは、人間が自分自身に責任のある未成年状態から立ち去ることである。未成年状態とは、自分の悟性を他人の指導なしに使用する能力がないことである。このような未成年状態が自分自身に責任があるのは、この未成年状態の原因が悟性の欠如にではなく、自分のもの〔自分の悟性〕を他人の指導なしで使用する決心と勇気の欠如にある場合である。かくして、あえて賢くあれ!(sapere audel!)、すなわち、君自身の悟性を使用する勇気を持て! これが啓蒙のモットーである。 (カント 2022 : 177–178) カントの啓蒙概念上記の一文は西洋哲学を学んだ人なら、知らない人はいないであろう一文です。 いわゆる「ドイツ観念論」を代表するイマヌエル・カントが1784年に記した論文「啓蒙とはなにか、この問いへの回答」(Beantwortung der Frage: Was ist Aufklärung?)の冒頭に掲げ