イラスト・帆 若くしてツキノワグマの生態を解き明かす新発見を重ね、今や日本を代表するクマ研究者となった東京農工大教授・小池伸介氏。その原点は山梨県の山岳地帯で道なき道をさまよい歩いたクマのウンコ拾いの日々だった。 順風満帆のウンコ拾いで卒論に突入した若者を襲う教授の学者魂! 提出3ヶ月前のテーマ変更という絶体絶命の危機に追い討ちをかける就職氷河期の洗礼......。迫りくる新卒無職の危機に小池氏が選んだ道とは!? ※本稿は、小池伸介著「ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら」(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。 シカのウンコとの決定的な違い ウンコ集めと糞分析が終わり、あとは卒論にまとめるだけ。そうすればめでたく卒業である。当時私は大学院に進んで研究者になろうなどという気は毛頭なかった。無難に卒論を提出して、高校教師になりたかった。だからほどほどに卒論を書いて卒業する