1946年、埼玉県生まれ。 慶應義塾大学経済学部卒業。 慶應義塾大学経済学部助手、同助教授などを経て、現在、一橋大学経済研究所助教授。 本書は、産業革命が始まる前の、工業化への準備段階ともいうべき「プロト工業化」時代における経済社会の様相を、日本と欧州との比較という視点から分析した貴重な研究書である。日本では、いわゆる大塚史学がこの時代の研究を手掛け、大きな成果をあげているが、本書はそうした先学の業績を踏まえたうえで、メンデルスらの18世紀フランドル地方を素材とした「プロト工業化モデル」に依拠しつつ、産業革命を成立させた「先行条件」について分析している。 本書は大きく分けて二つの部分からなる。前半においては、西欧社会におけるプロト工業化の分析が示される。そのモデルになるのが、メンデルスらのプロト工業化論である。このモデルの大きな特徴は、農村の工業化と人口動態の関係を陽表的に分析するところに