イマヌエル・カント(1724-1804)の「『啓蒙とは何か?』という問いへの答え」(1784)は以下のように始まります。 啓蒙とは人間が自ら招いた未成年状態から抜け出ることである。未成年状態とは、他人の指導なしには自分の悟性を用いる能力がないことである。 この未成年状態の原因が悟性の欠如にではなく、他人の指導がなくとも自分の悟性を用いる決意と勇気の欠如にあるなら、未成年状態の責任は本人にある。 したがって啓蒙の標語は「あえて賢くあれ!」「自分自身の悟性を用いる勇気を持て!」である。 (中略) なぜ彼ら〔多くの人間〕は生涯をとおして未成年状態でいたいと思い、またなぜ他人が彼らの後見人を気取りやすいのか。 怠惰と臆病こそがその原因である。未成年状態でいるのはそれほど気楽なことだ。 (福田喜一郎訳、『カント全集 14』、岩波書店、2000年、25頁。強調原文。) 啓蒙という概念について述べられた