公務員の数を削減したために、官公庁のパフォーマンスが低下し、行政サービスが劣悪化する。そのことが人々の怒りを買い、それを受けて公務員の一層の削減が進められていく。2000年代以降のこの国は、公共部門をめぐる「負のスパイラル」と呼ぶべき状況に陥っているようにみえる。 公的部門の削減をもたらしたものは、緊縮政策である。そして、不況下での緊縮と増税に痛めつけられた人々のジェラシーが、公務員数の削減を支持する世論を生みだしてきた。「負のスパイラル」を克服するためにいま求められているのは、脱緊縮の思想に基づいた経済政策なのではないか。 新型コロナウイルスとの戦いとは、ウイルスや疾病そのものとの戦いだけにとどまらない。ウイルス禍がもたらした経済的混乱との戦いが大きな比重を占めている。製造業は、中国との貿易の途絶によって生産が成り立たない状況が生まれつつある。内外の観光客の激減やイベントの自粛によって、