私たちの部屋には いつも音楽が流れている。 彼女がチョイスする曲は おだやかで、ゆるやかで。 時間がゆったり過ぎていく。 モダンなテレビボードには 大きなテレビを置いたけれど、 つけるのは私ひとりのときだけ。 「音楽のほうが好き」と、 彼女が言うから。 彼女との暮らしは まるで凪いだ海のよう。 リビングで音楽を聴き、 本を読み、食事をして、 日付が変わる前には ベッドルームに移動する。 刺激的な外の世界から 切り離されているようで、 それがたまらなく落ち着く。 この部屋を見つけたとき、 「あぁ、きっと気に入る」と すぐに彼女の顔が浮かんだ。 今までも、これからも、 本に囲まれて暮らす彼女。 ここならしっくりくるだろう…と。 リビング収納は すべて彼女ひとりのもの。 扉を開ければたくさんの物語が、 いつでも彼女を迎えてくれる。 あふれてしまった本は 大容量のテレビボードへ。 高い棚は彼女ひと