西谷修-Global Studies Laboratory 時事的なコメント、関連企画のお知らせ、その他西谷の仕事に関連する公開用ノートなどを、雑誌のコラム感覚(?)で公表しています。 ギリシアの映画作家テオ・アンゲロプロスが交通事故で亡くなった。火曜の夜。アテネ郊外で撮影中、トンネル内でバイクに撥ねられ、搬送先の病院で亡くなったのだという。バイカーとして痛恨。1935年生まれ、76歳。(⇒記事) 「20世紀三部作」の『エレニの旅』(原題:地に降る涙のように)に続く第二作『第三の翼』(原題:時の塵埃)の公開が控えていたという。これがきっと遺作となる。ヨーロッパのもつれた臍バルカン、あるいは絶たれた母胎ヘラス、アンゲロプロスほどグローバルな現代世界にとってギリシアとは何なのかを、凄絶なイメージで示した作家はいなかった。ニコス・カサンザキスの小説をアンソニー・クイン主演で映画化したマイケル・カ