政府与党は、この国で生きる外国人を尊厳ある存在としてとらえているのだろうか。そんな根本的な疑問がわいてくる。 出入国管理法改正案をめぐる対応である。与党は衆院法務委員会での採決を急ぐ構えをみせる。入管行政が抱える様々な問題を放置して審議を打ち切ることは、到底許されない。 当局の人権感覚を疑わせる事例として注目されているのが、3月に名古屋入管局で起きたスリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)の死亡事件とその後の措置だ。 留学ビザで来日後、学費が払えなくなって退学。昨年8月に収容され、体調が悪化した。 入管庁は4月に中間報告を公表したが、容体を懸念した医師が当局に「仮放免」を勧めた事実を記載していなかったことなどが、法案審議の過程で判明した。同居していたスリランカ人男性に暴力を振るわれ、警察に相談したのが収容のきっかけだったのに、DV被害者向けの手続きに沿った処遇をしなかった不備