この女性に障害があったという事実は、本事件について考える上で決して看過できない問題だった。 実は「モナ・リザ展」は、過度な混雑が予想されたことから、主催者によって「入場制限」が設けられていた。介助を必要とする障害者や高齢者、付き添いのいない小学生未満の子ども、乳幼児連れの人(実質的には幼児のいる母親)の来場が、あらかじめ「お断り」されていたのである。スプレーを噴射した女性は、こうした美術展の方針に怒っていた。事実、噴射時には「身障者を締め出すな」と叫んでいる。 彼女の怒りの背景には、それまで自身が被ってきた様々な疎外体験が存在した。障害のある足に向けられてきた冷たい目線。自分との関わりを避ける人々。家族との間でさえ障害について語ることのできない境遇――等々。 彼女の怒りの根底には、こうした私怨が存在したことは間違いない。だが、事件はそれだけで説明し得るものでもない。社会に根強い男尊女卑の風
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