資産運用の受託者が、委託者に対して負う責任 「フィデューシャリー・デューティー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。一部の金融界の人を除けば耳慣れないこの概念が、日本の金融機関のあり方を根幹から揺さぶろうとしている。 フィデューシャリー・デューティーとは「受託者責任」と訳される概念で、資産運用を受託した者が、もともとの資産保有者、つまり資産運用を委託した者に対して負う責任を言う。運用会社など金融機関は、資産を預けた人の利益を最大化する事に務めるのが義務で、利益に反するような行動は取ってはならない、ということだ。 安倍晋三内閣は6月2日、成長戦略の「日本再興戦略2016」を閣議決定した。第2次安倍内閣が発足して以降、4回目となる成長戦略の見直し版だ。IoT(インターネット・オブ・シングス)やビッグデータ、人工知能の活用による新たな成長市場の創出と、人口減少による人手不足を克服するための生産