シモーヌ・ヴェイユは、キリスト教の初期に一種の陰謀仮説を立てていた。ギリシャやオリエントの宗教とのシンクレティックな混交の試みの痕跡を、ローマ教会がシステマティックに消し去ったというのである。 一軍を率いる将のようなユダヤの民族神の征服欲は、ローマ帝国の征服欲に都合がよかった。 エジプトやギリシャの神は、死の論理に加担しない「愛」の神の先駆で、キリスト教は、そういうオリエントの土壌で育まれた。しかし、その初期に、原罪とでも言える二つの汚染があった。 一つは、ユダヤ人キリスト教徒によるユダヤ経典の聖書取り込みである。 もう一つは、それ故に、ローマ帝国が、キリスト教のそういう「ユダヤ」の神の好戦的ナショナリズムを採用してキリスト教を国教としたことである。 古代オリエント社会の中で、帝国主義的、民族主義的、選民思想があったのは、ユダヤとローマだけで、キリスト教の形成と採用でこの二つが結びつき、西
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